top of page
執筆者の写真石﨑公司

正道術2

更新日:3月4日

 正道術を率いたのは安一力氏と安 吉源「アンギロン(안 길원 an gil won)」兄弟。兄の一力氏は正道術一筋の武道家、弟の吉源氏は科学も積極的に取り入れていくという現代派。

正道術は人目を引く鮮やかな球形運動の妙味と変化の多様性を持っていた。


「暗行御使」での安 吉源(安 護海)総館長

圓和道錬武館2020






 安 吉源氏は、当時大ヒットした「燃えよドラゴン」の李小龍(ブルースリー)ばりの細身の筋肉質の体に甘いマスクで女の子たちが騒ぎ出しそうだが、当の本人は見向きもせずにもっぱら正道術に打ち込んでいた。

安 吉源(安 護海)総館長


 しかし、韓国の映画界が見逃すはずはない。日本でも東映が大山倍達率いる極真空手を正月作品として映画化(最強最後のカラテ 1980年1月19日公開)した時代のことであった。

 売れっ子の映画監督である李 相九が逃げ回る安 吉源氏を説き伏せて作った武道映画が『太陽の憤怒』(宇星映画)だ。安 吉源氏も当時は30余の映画に出演し、ソウルの目貫通りのヤングファンを動員した。


 日本ではTVで定番の※1「水戸黄門」が連続ヒットしたように、韓国では李氏朝鮮時代の『暗行御使』(1980.12.16~MBC-TV)の時代劇ドラマがロングヒット(五年間)した。

 水戸黄門での風車の弥七のような役に、映画俳優になった安 吉源氏が出演し、これも大人気の番組となっていた。正義の味方として風のごとく現れ悪者を征伐し、風のごとく去って行く姿が、正に「道術」使いの役柄だったのだ。


※1)時代劇ドラマ「水戸黄門」は1969年8月4日に放送を開始し、2003年12月15日で放送1000回を迎えた。世界でも類を見ない長編番組である。現在も再放送が行なわれている。


 俳優となった安 吉源氏も厳しい修行時代があった。兄の安 一力氏より「安家に伝わる秘術を伝承する資格があるか?」と問われてテストを受けた時が、辛く苦しい時期であったと語る。

 この“恐ろしい体験”は十一歳の時に始まった。一番苦しかったのは十三歳のとき、山に篭って夜中の一時に起きる。大雪の降る日。突きと蹴りを繰り返しながら、どこそこまで行って来いと命令された。

安 一力 会長と安 吉源 総館長

 谷があっても夜なので分からない。しばしば谷底に転落。全身の力をふり絞り、崖を這い上がる。しかし、いくら頑張って上がっても又、谷底に落ちた・・・。文字通り生死の境を行く修練ばかり。兄と言っても“鬼”のような存在にしか見えなかった。


 修練過程が終了した時に「お前!よく頑張った!!」と言って、兄は「修練中いつもお前の後を見守ってきた。実は谷底に突き落としたのは私だったのだ!」と打ち明けた。兄の厳愛を深く悟った吉源氏は、一力兄と二人で抱き合って泣いたという。


「出下術」

 この正道術が初めて日本に紹介されたのは、1970年のフジテレビの※2「万国ビックリショー」という番組であった。

 

この時は安 一力氏の弟である安 吉源氏が来日して出演し、高さ約12m70㎝のやぐらから飛び降り、直後に正道術の上段横蹴りを決め、視聴者を驚かせた。この技は「出下術」と言われるもので、他の技もそうであるが、山での厳しい修業によってのみ可能な”道術”である。


※2)1967年11月2日~1976年9月25日までフジテレビ系列で放送。


 1975年には梶栗 玄太郎氏(日本正道術中央修練館 初代館長)が訪韓し、直接これを修得され天の武道として日本に伝えた。


 梶栗 玄太郎氏の証言

「学生時代、自分より強い相手を倒すため空手を学び、道場以外でもケンカをやって実践技を磨いていた。しかし、いつも上には上がいた。正道術に出会って、武道は真理を体得することであり、最後は人格の闘いであることが分かった」。

と語っている。


正道術日本中央修練館の歩み

■1974年

7月 渋谷に道場建設

■1975年

7月 梶栗玄太郎氏が韓国へ行き、正道術を習得して日本に伝える。

安 一力会長と梶栗玄太郎氏


8月 和光修練館を設立し初代館長に梶栗玄太郎氏・副館長に回り道佳伸が就任

第一回正道術修練会開催

12月 回り道佳伸・大橋徹・古賀氏が訪韓し正道術を習得する。

■1976年

5月 正道術日本中央修練館を設立(世田谷区若林2-7-2)

8月 正道術夏季修練会を開催(伊豆下町須原)

9月 正道術特別修練会開催(正道術日本中央修練館)  






■1977年

1月 安 吉源 総館長が来日

第一回日韓親善正道術特別修練会



2月 第二回日韓親善正道術特別修練会(高田馬場学生修練館)

4月 訪韓特別21日正道術修練会

11月〜特別60日正道術修練会(山城修練)

■1978年

1月 60日修練会終了式

5月27日 第三回全国武術大会(大韓民国)

フジテレビ系放映(司会:土居まさる)

剛柔流 範士 十段 山口剛玄・範士 九段 曺 寧柱 ・ 六段 山口剛史・ 五段 山口剛玉

(日本・インドネシア・オーストリア・タイ・フイリピン・台湾64名が参加)

■1979年  

9月 訪韓特別21日正道術修練会

■1980年

4月 安 吉源(護海)総館長が来日

正道術特別強化修練会(正道術日本中央修練館)


5月 第五回全国武術大会(ソウル奨忠体育館)日本代表団派遣






■1981年

2月 第一回対戦術研究会

優勝:大橋徹・準優勝:山崎省二・三位:青田秀俊・敢闘賞:長谷川利夫

4月 正道術特別40日修練会(ソウル西大門区弘済洞143-6・正道術会館)


■1981年9月19日〜1982年1月2日 

第一回正道術100日訪韓修練会(ソウル西大門区弘済洞・正道術会館)

深山幽谷での瞑想・雪を掃いて修錬


特別山城修練では『出下術』『歩行術』『斜面術』『短棒術』『長棒術』等が実施された。


■1982年

1月2日 100日修練会 終了式(正道術日本中央修練館)



梶栗玄太郎 館長より補師範の資格状授与


2月 梶栗 玄太郎 館長が特別顧問に就任。大橋 徹 氏が二代目館長となる。


8月23日〜29日 正道術夏季特別修練会(世田谷区池尻3-21-24・全日本正道術大学連合会中央修練館)



8月29日 第一回正道術競技大会(全日本正道術大学連合会中央修練館)


優勝:石﨑公司・準優勝:武岡克彦・三位:遠藤利幸・敢闘賞:深谷高広

技能賞:三由富士夫・角田道紀


12月 安 吉源 総館長 来日

向かって左より深谷高広・石﨑公司・安 吉源(護海)総館長・三由不二夫・大橋 徹 館長


■1983年



1月 1982年度表彰

正道術賞:大橋徹・山崎省二・特別貢献賞:谷口正丈・敢闘賞:石﨑公司

技能賞:遠藤利幸・努力賞:角田道紀・高津英夫


3月26日〜4月19日 訪韓21日正道術修練会(ソウル西大門区弘済洞・正道術会館)




4月3日 韓日親善大学正道術大会(檀君大学校 体育館)


『対戦術』大橋 徹 館長と石﨑公司 師範

安 一力 会長と石﨑公司 師範

4月 大橋徹正道術中央修練館二代目館長が指導の為に渡米


長谷川利夫氏が正道術中央修練館の三代目館長に就任

9月5日〜25日 正道術指導者養成修練会(対馬にて)

霊峰・白嶽にのぼる



■1984年

8月 正道術大学連合会修練会(神奈川足柄市)

大学生15名と対戦術修練


12月9日 第4回全日本学生正道術大会(早稲田大学柔道場)


深谷高広 師範・破撃術(瓦割り)

     石﨑公司 師範・破撃術(飛び横蹴り)


12月14日 

新道場開館式

「正道術中央修練館」は世田谷区から渋谷区に移転

記念模範演武

渋谷区宇多川町宮坂ビル1Fの道場

梶栗玄太郎顧問の記念揮毫「忠孝」



■1985年

韓奉器先生を迎えて護身術特別修練会開催

韓国 済州島 漢拏山(ハンラサン) 

白 在燮 師範の引導で漢拏山へ登山。これも重要な訓練の一つだ。山頂にたどり着いた喜びは最高だ!


8月 正道術韓国100日修練会 仁王山)




文 一民 館長と第七回跆拳道世界大会を観戦(蚕室室内体育館)

■1986年

4月20日〜5月11日 正道術訪韓21日修練会(京畿道水沢里修練所)




緊張する韓半島の38度線「板門店」を視察




■1986年

正道術中央修練館 長谷川利夫 館長が 館長職を離任

正道術大学連合会中央修練館の山崎省二 館長が正道術中央修練館の四代目館長に就任



■1988年

3月13日 第7回全日本学生正道術大会(早稲田大学武道場)


優勝した近藤一成 師範(東洋大学)


山崎省二 館長の破撃術(ブロック割り)






■1989年

5月3日 第四回日韓居合道大会(日本武道館 剣道場)

姿勢術:山崎省二館長

長棒術:大沼英夫師範・石﨑公司師範

日本古伝武術居合道連盟 会長 関口高明先生が十年にわたって暖め続けてきた武道を通した日韓の交流と親善のための大会は過去三回は韓国で開催されていた。

今大会では天然理心流や北辰一刀流、東京理科大の古武術研究会、韓国からは大邱の正気館、正道術修練館など30余の居合道団体などが参加した。

対戦術:山崎省二 館長・近藤一成 師範

■1990年

11月4日 正道術昇級昇段審査会(正道術中央修練館)


来日した文 一民 館長による秘伝「破撃術」





写真や動画、情報が不足しているので、多くの正道術関係者に御協力をお願い致します。

正道術 師範 石﨑公司















閲覧数:518回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page